【読書ログ】『機雷』光岡明

読書ログ

はじめに

電子書籍を導入してから本を読む機会が増えたんですが、手当たり次第に読み漁っていると(この本、前にも読んだな…?)が発生しがちなので読書記録をつけることにしました。

文学からノンフィクションまでなんでも読みます。
グロ耐性はそれなり。登場人物の名前が覚えられない。

今回読んだ本

『機雷』

光岡明著
講談社文庫
1984刊行
※第86回直木賞受賞

あらすじ

時は昭和19年(1944年)末。
朝鮮からフィリピンへ、『ヒ八一船団』が物資輸送のため出発した。主人公の梶井成明は、その船団を護る海防艦『大東』の副長である。

梶井は以前駆逐艦『雷』に乗船していたが肺炎を患ったため一年弱の療養を余儀なくされていた。病室で梶井は自分の乗る船が『雷』から『大東』、つまり戦う船から護る船に代わったことを知る。

死に場所を失い身が入らないまま迎えた作戦で『大東』はじめ『ヒ八一船団』は敵潜水艦の攻撃を受けて半壊する。『大東』は生き残ったが、大破、沈没したものもあった。それでも、島国であるがゆえ島外から物資を運ぶには船を出さねばならない。修理を終えた『大東』は再び海防艦として船団の守護に当たる。今度は戦闘機の群れが何度も船団を襲った。度重なるグランマF9F(米戦闘機)の襲撃を掻い潜るうちに、『大東』も梶井も再び一命を取り留める。

傷の治りかけたころ、梶井に再び異動の命令が出る。敵潜水艦の侵入を防ぐため、機雷による大掛かりな防護壕を敷設するための艦『常磐』。その『常磐』に乗り込んで指示を出せというものだった。

駆逐艦から海防艦、そして敷設艦。徐々に熾烈ながら華々しい一線と離れていく自分に怒り、諦め、それでも感情を押し殺して任務に当たろうと自らに言い聞かせる梶井の前に『機雷』が現れる。

そのしくみ、種類、そして何より一度海の中に敷設されたらただ海中に漂い、頭上を通る敵も味方かもわからない船に突然襲いかかる『機雷』にいつしか梶井は同族意識、さらには尊敬の念までもを覚えるようになっていた。

選んだ理由

ウィキペディアで事故の記事を読み漁るという奇癖があるのですが、そこから「令和現在でも不発弾やら機雷やらちょいちょい出てくる」という事実を知る

「掃海」(海中に敷設または投下された機雷を探知し除去すること)という概念を知る

第二次世界大戦末期の掃海をテーマにした直木賞受賞作品があることを知る

読んでみるか(Kindleぽちー)

感想(ネタバレあり)

戦記物は好きなジャンルなんですが、機雷の掃討は初見のテーマだったので興味深かったです。

主人公のキャラがいまいち掴みきれないというか感情移入できないというか…左遷に次ぐ左遷でやる気なくなるのはわかる。
でも「死に場所見つけた!」と「死に損なった…」を繰り返してるのはなんかよくわかんなかった。

豊崎が癒やしなのはすごい伝わった。私も豊崎好き。

機雷に取り憑かれていく梶井の描写は好き。
特に敵機である「A6機雷」に惹かれていくとこはすごく良い。
純粋に機雷の美しさ(機能美?)にのめり込んでいくのが良いよね。

海戦(つーか一方的に撃たれてるだけだが)のシーンは臨場感あって良かった。

ネタバレ

あと、偶然なんですがゴジラマイナスワンでちょうどこの『木造の掃海艇で機雷を掃討する』シーンを見てたので脳内イメージはぐいぐい湧きました。
もう豊崎のビジュアルが山田裕貴にしか見えなくなってます。

周辺知識など

この本自体はフィクションだけど、この掃海部隊が現在の海上自衛隊の掃海隊の前身になったのは史実のようです。
なかなかディープな資料を発見したので今度ゆっくり読んでみます。

海上自衛隊 掃海隊群のホームページ

おわりに

以上、光岡明『機雷』の読書記録でした。
レイテ海戦とか有名どころは読み尽くしたぜ!って人にはおすすめです。

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